日本経済新聞で連載されている「今昔まち話」では、全国の「まち」を舞台に、まちの歴史やその変遷に伴う人々の変化のストーリーを毎週1つ、ご紹介しています。
明治時代から続く景色、戦争を経て変わった景色、平成から令和に変わり、かつての姿が戻ってきた景色…。日本には様々な街があり、それぞれの歴史とそれを取り巻く人々のドラマが溢れています。
「今昔まち話」で紹介されている景色を2つピックアップしてご紹介します。
1つ目は、東京都の隅田川。
かつて「水の都」として栄えた江戸で、隅田川は水運の大動脈でした。
利便性はもちろんのこと、芥川龍之介が「自分はどうして、こうもあの川も愛するのか」と著書に書いているほど、地元の人々にも親しまれてきました。
しかし時代の変化に伴い陸路での運送が盛んになり、船が使われることは減ってきていました。
そんな昨今、2015年から、「水上タクシー」や「定期クルーズ便」が運航されています。
船上の風は心地よく、通勤に利用する人もいるのだそう。
成長に突っ走る時代が終わり、かつてのように自然を楽しむゆとりが生まれてきたのかもしれません。
2つ目は、福岡県の中央区長浜。
新鮮な魚介類が集まる博多の台所で、とんこつスープに極細麺の「長浜ラーメン」を生んだ屋台街としても知られています。
この鮮魚市場が整備されたのは1955年で、市場で働く人たちのために周辺に屋台が出るようになりました。
当時は多くの人で市場・屋台が溢れ、多くの有名人も足を運んだといいます。
しかし近隣にタワーマンション等が増えたことにより、酔客の大声や悪臭などに住民の反発が強まり、営業時間や歩道幅の規制強化が行われました。
そういった活動により、一時期は客数も減ったこともありました。
しかし最近は、かつて学生の頃、客として長浜を愛した人々等が「長浜に屋台を出したい」という声が増え、再度長浜も盛り上がりをみせるようになりました。
何十年も何百年も変わらない景色もあれば、もとの姿を思い出せないくらいに変わり果てた景色もあるでしょう。
しかしどの景色にも、かつてその場所で生まれ育ち、生活してきた人々の歴史とそれぞれの想いが刻まれています。
隅田川の景色にも長浜の景色にも共通するのは、それぞれのまちを深く愛した人たちがいたこと、そして現代に生きる私たちもまた、そのまちを魅力に思い、かつてのような楽しみ方を復活させようとしていることではないでしょうか。
時代の変化に沿って、まちの在り方は勿論変化していきます。しかしそこに生きる人たちがその土地を愛したことは変わらず、その想いは残り続けます。
日経新聞というと経済のイメージが強いですが、こんな情緒溢れるコラムもおすすめです。
あなたの住むまち、愛したまちのストーリーに照らし合わせて、この連載を楽しんでみてはいかがでしょうか。
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